FAQ 採用
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労働契約締結時の労働条件の明示についてはどのようなルールがありますか。
「厚生労働省令で定める事項」については、労基則第5条第1項において具体的に定められており、「厚生労働省令で定める方法」については、労基則第5条第4項において定められています。
また、労基則第5条第3項では、労働契約締結時に労働者に対して書面を交付すべき事項について定められています。これは、労働契約の締結時における賃金に関する事項の取決めが不明確であることが原因となって賃金の支払をめぐる紛争事案が多かったことから、当該紛争発生防止を図るために明示すべき労働条件のうち特に賃金に関する事項についての明示の方法に、特別の制限(書面交付)を加えられたものになり、その後平成10年の改正により、賃金のほか労働時間等主要な労働条件についても、厚生労働省令で定める方法(書面交付※1)により明示しなければならないとされたものです。
なお、労契法第4条においては、労働契約の内容の理解促進について規定されていますが、これは、個別労働関係紛争を防止するため、労働契約の内容について、労働者及び使用者が契約内容について自覚することにより、契約内容があいまいなまま労働契約関係が継続することのないようにすることが重要との趣旨から設けられたものです。したがって、労基法第15条第1項において労働条件の明示が義務付けられている労働契約の締結時よりも広く、労働契約が締結又は変更されて継続している間の各場面が含まれるものであるとされています(平24.8.10基発0810第2号)。
※1 書面で明示すべき労働条件については、当該労働者にて起用する部分を明確にして就業規則を労働契約の締結の際に交付することとしても差し支えないとされています(平11.1.29基発第45号)。また、平成30年改正により、労基則第5条第4項ただし書において、労働者が希望した場合には、ファクシミリ、電子メールその他電気通信による送信(電子メール等の記録を出力することにより書面を作成することができるものに限る)でもよいとされています。
【労基法-労働契約締結時の労働条件の明示事項】

このほか、例えばパートタイマーや有期雇用労働者を雇い入れたとき※2には、短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律(以下、「パート・有期法」という。)第6条第1項の規定に基づき、労基法第15条第1項で書面の交付による明示が義務づけられている事項に加えて、「昇給の有無」、「退職手当の有無」、「賞与の有無」、「短時間・有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する事項に係る相談窓口」についても文書の交付等により明示しなければならないとされています(パート・有期法施行規則第2条)。なお、労働者が希望した場合には、労基則第5条第4項ただし書同様、ファクシミリや電子メール等による方法でもよいとされています。
※2 「雇い入れたとき」には、有期雇用契約を更新する際も含まれますので、契約更新時にも明示が必要です。
【労働条件を明示すべき時期】
労基法第15条第1項における労働条件を明示すべき時期は、労働契約の締結の際であり、労働者の募集時点において必要はありません。ただし、募集時においては職業安定法上の明示義務はあります(「労働者を募集する際の労働条件の明示についてはどのようなルールがありますか」参照)のでこれに注意する必要があります。
本条第1項の「労働契約の締結」には、新規採用や中途採用のみならず、有期労働契約の契約期間満了後の契約更新や定年後の再雇用なども含まれます。
また、労働者が出向する場合については、在籍型であれ移籍型であれ、出向先と労働者との間で新たに労働契約関係が成立するものであるので、出向に際して出向先は当該事業場における労働条件を明示することが必要となります(この労働条件の明示は、出向元が出向先のために代わって行うことも差し支えないとされています)。
なお、労働契約締結後において労働契約や就業規則の変更等により労働条件の変更がなされた場合に本条の労働条件の明示を要するか否かについては、本条の適用はないと解すべきであるとされています(京都地判昭24.10.20、大阪地判平9.9.10)。
【参考資料】
事業者・労務管理担当の方のQ&A(雇用契約)
https://www.startup-roudou.mhlw.go.jp/qa/zigyonushi/koyou/q4.html
厚生労働省モデル労働条件通知書の様式ダウンロードサイト
https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/roudoujouken01/
平成31年4月から、労働条件の明示がFAX・メール・SNS等でもできるようになります
https://www.mhlw.go.jp/content/000481172.pdf
令和6年4月の改正事項
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_32105.html
※回答内容は、掲載日時点の法令・通達等に基づいたものです。
ただし、赤字部分は2024.1.23追記。